伴走者~東京パラリンピック 開幕~

東京2020パラリンピック開幕

東京パラリンピックが開会されました。コロナ感染が収まらず、感染者が増えている中での開催ですが、パラリンピックの歴史を紐解くと、当初はリハビリテーションのためのスポーツだったパラリンピックですが、現在はアスリートによる競技スポーツへと発展しています。

 

 

1960年のローマ大会からはオリンピック開催国で、1988年のソウル大会からはオリンピックの直後に同じ場所で開催されるようになりました。出場者も「車いす使用者」(Paralyzed) から対象が広がり、もうひとつの(Parallel)+オリンピック(Olympic)という意味で、「パラリンピック」という公式名称も定められました。

伴走者

陸上競技での伴走者という存在、知っている方もいらっしゃると思います。伴走者は、100mから 5000mまでのトラック種目と、マラソンに参加します。視覚障がいのある選手と共に走り、コースや距離の状況を伝えながら一緒に走る存在です。輪になった1本のロープ(注:”きずな”と呼びます)を互いに持って走るというルールがあります。

 

 

伴走者が好き勝手に腕を振ると選手の走りの妨げになってしまいます。自分の走りやすさよりも、選手のフォームを崩さないよう細心の注意を払い、呼吸さえもピタリと合わせる、完璧なパートナーとなって選手の走りを最大限にサポートする仕事です。

 

 

選手を引っ張ったり選手より極端に前を走ったりするなど、選手が速く走るのを助けていると見なされる行為は、失格となります。また、ゴールラインを伴走者が先に通過すると失格になります。気象状況や路面状況などマラソンならではの様々な困難がある中、42.195kmという長距離をランナーと伴走者が共に走り抜く姿が、東京パラリンピックでも展開されると思います。

伴走者の役割

伴走者には、陸上競技の経験者がなる場合がほとんどのようですが、競技生活を送ってきた伴走者でも、いやむしろ、陸上競技に打ち込んできた経験があるからこその、苦労があるようです。

 

 

福岡在住の女子マラソン代表選手 道下美里さん(リオデジャネイロオリンピック 銀メダリスト)の伴走者 河口さんは、次のように語っています。

 

「道下さんと出会う前は、自分のタイム・フォーム・リズムだけを意識すれば良かったのですが、今は身長もリズムも違う2人が、どうやったら一体となって走れるかを、自分一人の練習の中でも考えるようになりました」

 

また、パラリンピックメダリストの伴走者 中田さんは、伴走者として絶対にやらないと決めていることがあるそうです。

 

「伴走中に嘘をつかないこと」

 

 

たとえば、実際はそうでなくても『前を走っているランナーが失速した』と伝え、選手を鼓舞する意味で大げさやひいき目に話をする伴走者は珍しくないそうです。「優しい嘘」だと肯定的に受け止める人もいるかもしれませんが、中田さんが敢えてやらないのは、視覚障がいを持つ仲間への敬意から、次のように考えているからです。

 

「伴走者はブラインドランナーにとっての”目”ですから、正しく現実のみを伝えることに徹している」

2,000時間の伴走者

 

学問ノススメを始めた時、ブラインドランナーの伴走者(guide runner)を参考にして、2,000時間の伴走者(Escort Runner)を目指したいと考えました。

河口さんや中田さんの領域までは、とても遠い道のりですが、志望校合格というゴールを目指して走り続ける受験生の伴走者として、走り続けていきたいと考えています。

(文責:大井)