ハッとする言葉(ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領)

貧しいとは

「貧しい人とは少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとといくらあっても満足しない人のことだ」

 

5月に亡くなったウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領のスピーチ(*)の一文です。

(*)2012年6月、ブラジルのリオデジャネイロで行なわれた「リオ+20 国連 持続可能な開発会議」での演説。議題は「人間はどうしたら、これからも発展しながら地球環境を守っていけるのか?」

 

 

(世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉 双葉社 2015/7)

 

この言葉は、同大統領がスピーチで言及している通り、ギリシアの哲学者エピクロス(注)の言葉(貧乏に甘んずるは栄誉ある財産なり)や、セネカ(小セネカ、ストア派)の言葉(わずかしか持たない者でなく、多くを欲する者が貧しいのである)でもあります。

(注):快楽主義で知られていますが、文字ヅラからの快楽主義者ではないことは要注意

 

ハッとする言葉

ムヒカ元大統領は、世界で一番貧しい大統領と言われ、書籍やメディアで世界中で紹介されてきました。貧困家庭に生まれ、軍事政権下でのゲリラ活動、逮捕、脱獄、10数年にわたる牢獄生活。壮絶な人生をおくった後、政治家に転身。2010年に大統領就任後も公邸に住まず収入の90%を寄付し続け、退任後も多くの国民に愛されてきました。

 

「貧しい人とは、、、」の言葉自体は、ムヒカ元大統領が紹介している様に、紀元前の哲学者の言葉です。普遍的な価値を持つ考え方だと思います。私が、ハッとしたのは、ムヒカ元大統領の人生をかけた言葉だったからだと思います。いろいろな言葉にハッとしてきましたが、私自身の環境で変化します。一方で、ハッとする言葉には共通する価値を見出すこともできます。例えば、中村哲先生(注)「あまりの不平等という不条理に復讐する」も、マザー・テレサ(注)の「愛の反対は憎しみではなく無関心です」も、言葉に出会った年齢はそれぞれですが人生をかけて来た偉人の言葉としての重みが心に入り込み、今でも忘れられません。

 

(荒野に希望の灯をともす~医師・中村哲 現地活動35年の軌跡~ DVD版より)

 

(注)福岡出身の医師。アフガニスタンで、医師としての活動に加えて長年にわたり灌漑事業を主導。2019年現地で凶弾に倒れる。

(注)インドで貧しい人々のために尽力したカトリック修道女。無償の愛と奉仕で世界中に感動を与え、1979年にノーベル平和賞を受賞

 

みずみずしい感性

みなさんは、私が持っていないみずみずしい感性を持っています。ハッとする言葉に出会うことが、きっとあります。その瞬間を大切にしてください。あなたの心に届くには理由があります。心の扉が開いている人には、いろいろな言葉や出来事がその中に入ってきます。

 

人生のそういう時代を生きていることを大切にしてください。このことをお伝えしたくて、ムヒカ元大統領の言葉に対する思いをお伝えしました。

 

 

(文責:大井)

筆者プロフィール:

京都大学法学部卒、臨床発達心理士・税理士・米国公認会計士

大学卒業後、銀行で海外勤務(ニューヨーク)、人事部、法人営業などを経験。その後、事業会社で代表、人材育成や経営企画部門の責任者を歴任。心理学に関する勉強を大学院で行った後、企業での人材育成の経験を生かした高校生向けの個別指導塾 学問ノススメを創業(2020年)。合同会社 ミライノ 代表社員。詳しくはコチラ