心理学と勉強法 第26回 二重過程理論

心理学と勉強法 第26回

第26回は、二重過程理論について説明します。

人間の推論の過程は、直感的なヒューリスティック過程と、意識的な分析的過程の”二重の過程”からなるという考え方があります。潜在的(高速、並列的、自動的)なシステムと顕在的(低速、継時的、注意の容量を必要とする)なシステムを併用しているという考えです。

 

 

顕在的な方法が「宣言的知識」、潜在的な方法が「手続き的知識」におおむね対応します。受験勉強の場合は、顕在的システムを試されている部分が大きいですが、解答に至るには手続き的な知識も使っています。顕在的な認知システムは抽象的な思考が可能ですが、認知過程で多くの注意を必要とするので、時間がかかり多くの記憶容量を使用してしまいます。一方で、潜在的な方法は、直感的・無意識的に行われるので、必要な記憶容量も少なく、処理も高速に行われます。が、そのような知識にするには、一定の経験を経る必要があり、時には誤りも起こす場合があります。受験勉強についても、解法の手続きが潜在的システムのレベルまで身についている場合もあるでしょう。

 

 

動物としての人間(本能的に判断)と、考える葦(認知的に判断)としての人間は、2つの認知過程を持っているということでしょう。

 

次回以降は、第2章「考えて(推論)わかる(理解)」で説明してきた基本的な理論をどのように受験勉強に生かしていくかについて、本章のまとめとして連載していきます、

 

 

【次回(第27回)テーマ 受験勉強での「わかる」のコツ】