心理学と勉強法 第27回 受験勉強での「わかる」のコツ

心理学と勉強法 第27回

第2章 「考える(推論)とわかる(理解)」のまとめとして、数回にわたり、受験勉強での「わかる」のコツについて説明していきます。

 

人間の脳の記憶容量と神経の反応スピードには限界があります。AIのように、大容量の記憶装置と高速演算で解を導き出すことはむつかしそうです。藤井二冠が、2020年の棋聖戦で打った一手について、「AI超え」として話題になりました。藤井二冠が23分間で打った一手は、AIが対局中には思い浮かばなかった一手で、悪手かもしれないといわれていた一手ですが、翌日にはAIが6億手を計算した結果、藤井棋聖の一手を最善手としたという出来事です。

 

 

人間の脳は、AIが大容量記憶装置と超高速演算装置を駆使してもすぐにはできない解答を、鍛えることによって、できるようになります。藤井王座の脳内でどのような演算が行われていたか、本当のところはもちろんわかりませんが、今までの話を総合すると、私は、以下の通りに考えます。

 

将棋スキーマ(定石)に検索
・同一の局面は見つけられなかったので、ヒューリスティックな推論(多分この一手が良いという推論)
・その結果、最も適当と思われる一手が浮かぶという転移が起こった。

 

 

藤井二冠が、幼いころから長い時間のものすごい努力で身につけた能力(将棋脳)だと思いますが、受験勉強で身につける能力も基本は同じです。

 

【次回(第28回)テーマ 数学は暗記科目? 】