心理学と勉強法 第28回 数学は暗記科目?

心理学と勉強法 第28回

第28回のテーマは、数学は暗記科目?です。

数学は暗記の正体

数学は暗記にすぎないと言っている人たちがいます。「数学は暗記科目。解法パターンを覚えれば誰でもできる」といっている受験指南書もあります。が、たくさんの問題を解いて解法パターンを暗記すればいいという単純な話ではないことは理解できると思います。英語の単語や日本史の年号、算数の四則演算を覚えることと高校数学は抽象度のレベルが違います。高校まで数学が得意だった人でも、大学進学後に、数学の奥深さや難しさを感じたという話はよく耳にします。

 

 

暗記派の多くの人は、受験数学ではつまずかなかったタイプの方だと思います。このタイプの方は、数学に関する「中程度の抽象性を持つ知識(数学スキーマ)や手続き的知識を作り上げる」トレーニングが意識的あるいは無意識的にできているのではないでしょうか。

 

中程度の抽象度の知識を創る能力がすぐれているので、記憶容量の負荷の限界を痛感することなく、数学スキーマを創ることができているのです。だから、いろいろなパターンの問題を解く=暗記する→数学スキーマができる→大学受験程度の数学は暗記で解答できると考えたのではないでしょうか。これが、数学が得意な人がいう”数学は暗記”の正体です。

 

受験脳を身につけるコツ

この考えをすべての人に当てはめることは危険です。

運動神経に優れた人は、少し習っただけで、サッカーのドリブルや、野球のバッテイングがうまくできるようになりますが、すべての人が毎日素振りをしたら、レギュラーを獲得できるわけではありません。

すべての人に、独力の暗記で数学スキーマができる保証はありません。むしろ、数学という分野での能力に違いは認めることが合理的です。ただし、才能だからと、あきらめない方法があるのが、受験勉強でもあります。

 

 

受験勉強での能力(受験脳)を身につけるコツは、

1.脳に正しい負荷をかけ、痛めつけることで、神経回路を活性化して、知識(スキーマ)とする。
2.神経回路を太くすることで、効率的な呼び出し(早く、ムダなく)ができるようにする。

ことだと考えています。次回にさらに説明します。

 

 

【次回(第29回)テーマ 脳に正しい負荷をかける】