書評 永井 均「翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいざない (ちくま学芸文庫)」

夏休みに哲学する

哲学を専攻している講師と話をしている際にオススメの本ということでご紹介いただき読んでみました。

内容としては哲学の諸説紹介ではなく、哲学的な議論が色々とされていて、自分自身で考えるキッカケが散りばめられている本です。読むにあたって、哲学の予備知識は不用の本です。

 

著者

永井 均

哲学者。1951年東京生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得。信州大学教授、千葉大学教授を経て、現在、日本大学文理学部教授。専攻は、哲学・倫理学。

構成

第1章 いまが夢じゃないって証拠はあるか

ぼくらは培養器の中の脳か

ほんとうであるとは?

見える世界とほんとうの世界

デカルトのはなし

第2章 たくさんの人間の中に自分という特別なものがいるとはどういうことか

他人には心がない?

心があるとは?

ぼくは存在する!

カントのはなし

第3章 さまざまな可能性の中でこれが正しいといえる根拠はあるか

善悪の客観的な基準はあるか

住んでる世界が違う?

意味は存在しない

ウィトゲンシュタインのはなし

第4章 自分がいまここに存在していることに意味はあるか

人間には自由意志があるか

宇宙の果ては―「いま」の神秘?

死―人生の意味

ハイデガーのはなし

第5章 死と夢

本書を読んで

対象は中高生向けということではすが、年齢に関係なく読めます。

筆者は

よくわからないことにあまりこだわる必要はありません。

むしろ、自分にとってよくわかる問題を考えぬいてみてください。」

と述べています。

夏休み、いつもと違うリズムを過ごす隙間時間に、哲学的なことを考えるのも良いと思いご紹介しました。

(文責:井口)