心理学と勉強法 第32回 神経回路を太くするための工夫

心理学と勉強法 第32回

第32回のテーマは、神経回路を太くするための工夫 です。

熟達者が長い時間をかけて取り組んで熟達者になることからも、本物になるためには、長い期間の継続的な取り組みが必要です。受験勉強の場合は期限のある中での取組みですが、同様に一定量の練習は必要です。寝ている間に神経回路ができあがっているほど世の中甘くありません。が、限られた時間での勝負である受験勉強に適した方法があります。3つ紹介します

 

 

① 粘って考える

わからない問題について、考えてみる。「考えずに」教えてもらうのは誤りで、結局損をします。解らないときに簡単にあきらめて解答を見るのではなく、粘って取り組んでみる。わからない状態を続けることはしんどいですが、我慢して考えてみる。どうしてもわからなかった問題は、解答を見て理解につとめる。ギリギリあげることのできないバーベルを上げる練習です。

 

 

学問モードと日常モード

大学受験の場合、理解につとめる際に、学問的な意味の理解(学問モード)と手続きの慣れ(日常モード)のバランスが大切で、受験生にはむつかしいバランスです。

英語は、第2言語ですので、文型や構文などのルール(文法)から覚えていきます。学問モードが優先しています。一方、国語(日本語)は、手続きの慣れで気づかない間に理解が進んでいます。小学校から国語文法を習い続けていますが、「は」と「が」の使い分けを学問的に説明できる人は少ないと思います。

 

 

このように日常モード(国語の例)では手続きの慣れが優位ですが 大学受験で問われる学問モードでは意味の理解が優先する場合が多いです。ただし、問題の内容(難しさや抽象度)によっては、あえて手続き(ルール・定理)から入り、習熟した段階で意味を理解するという方法もあります。多くの人は国語の「は」と「が」の使い分けに慣れています(手続き的理解から入っている)ので、文法的な説明(学問的な理解)を聞けば、理解しやすいような場合です(以下(注)を参照してみてください)。

 

(注)「は」=topic maker、「が」=case makerという説明が日本語の文法学習書にはあります。

1.田中さんがお茶を飲みました。
2.田中さんはお茶を飲みました。
3.お茶は田中さんが飲みました

2の主題(topic)は田中さん、3の主題はお茶。同じ内容だが、主題(topic)が違い、「は」でtopicを示している。1は田中さんをtopicとしているのではなく、あくまで格を表しているに過ぎない(東京大学 日本語教育センター 日本語学習入門より抜粋)

 

次回は、2つ目のコツ 「わからなかった経験を生かす」を紹介します。

 

【次回(第33回)テーマ わからなかった経験を生かす 】