心理学と勉強法 第35回 プライベートコーチの役割
- 2021.10.24 | 心理学と勉強法 高校生・受験生の学び(現在)
心理学と勉強法 第35回
第35回は、第2章 「考えてわかる」のまとめ プライベートコーチの役割 です。
実践はムツカシイ
これまで説明したことは、すべてとても難しい取組です。
・粘って考えろって、何時間考えてみたらいいの?
・意味の理解(学問モード)と手続きの慣れ(日常モード)のバランスって何のこと?
・わからなかった経験を活かせたら、苦労しない!!
・効率的な試行錯誤を心がけるってどういうこと?
・ほどよい抽象度のスキーマってどのくらいの抽象度のこと?
自分の時間、決めるのはあなたの自由。でも、、
ここで、どうせ自分には無理だと、あきらめてしまうかどうかが分かれ道です。例えば、どのくらい粘って考えるかについては、自分の勉強ですから、自分でルールを決めればいいだけです。30分考えてわからなければ、答えを読む。本当にわかったかどうか、3日後にチェックする、などなど。
自分の時間です。決めるのはあなたの自由です。でも、どこまで負荷をかければいいのか?どうすれば、できるだけ効率的・効果的にできるか?これは、大学受験が初めてのみなさんにはとてもムツカシイことも事実です。
筋トレと脳トレ
筋トレ(自習)で負荷はかける。でも負荷のかけ方は体力(学力)によって違う。知識のトレーニングは、脳トレ、自分で考えてみること、自分の脳を痛めつけることです。筋トレと同じようにしんどいです、脳トレも。バランスよく筋肉(脳)に負荷をかけることや、どの重さ(頻度)まで負荷をかけることが適当かを見極めることを、自分でできる人もいます。脳を痛めつけるトレーニングを一人でやり切っています。ただし、一人だけでやることが全ての人に当てはまるわけではありません。
だから、個別指導という仕事があるのだと思います。筋トレやダイエットのプライベートコーチと同じです。
メタ認知
わからない状態が続く場合、どうすればいいかを一歩引いて考えることを、認知心理学では、メタ認知と呼びます。認知を認知する、勉強の最中に、この問題は難しいな、もう少し時間をかけて考えてみようというように、自分の認知自体をコントロールする機能です。自分のコンディションを、もう一人の自分が俯瞰しているイメージです。認知心理学では、このような状況をモニタリングとコントロールと呼びます。自分でチェック(セルフモニタリング)して、自分で管理(セルフコントロール)することです。
受験勉強を一人だけでやり切ることはむつかしいことですが、できないことではないです。難関校に自習で合格している人は、メタ認知ができています。サッカー(数学)が上手な人は、コーチ(家庭教師)が目の前でドリブルをするだけで(解き方をみせてくれる)、すぐにドリブルができるようになるかもしれません。が、多くの人はそうではないはずです。そのために、個別指導塾はあります。
われわれは受験のプライベートコーチと名乗っています。
ギリギリのちょうどいいトレーニング
どこができていないか(わからないか)をコーチがチェックして、ちょうどいいトレーニング(負荷)をすることが適切なトレーニングです。みなさんには、練習(自習)が必要です。練習せずにレギュラーにはなれません。自分で学ばずに、答えを見ているだけ聞いているだけでは、決して身につきません。咀嚼しなければ栄養とならず血肉になりません。
宿題がわからないことが問題ではなく、わからないままで、わかろうとすることをあきらめてしまうことが問題です。これでは、筋トレにはなりません。ギリギリの負荷をかけるから筋肉がつきます。
ただし、わからないことをすべてわかることはムリです。大学受験にはタイムリミットがあります。高校生活、やることがたくさんあります。どこまでやるか、どこであきらめるかという判断が必要です。
受験のプライベートコーチ
セルフコントロールができるといいのですが、これはとてもムツカシイことです。多くは、簡単にあきらめてしまうか、むやみに時間をかけるか、無理やり記憶してわかったつもりになるか、です。
プライベートコーチの役割がここにあります。すべてわかる必要はありません。東大生も九大生講師も、わからない問題があったことを認めています。
自分で練習を組み立てて取り組む人には、プライベートコーチは必要ありません。自分で練習をやらない人には、プライベートコーチの果たす役割はありません。
一生懸命練習をする人、でも、どこまでどのように練習すればいいか、悩んでいる人の為に、プライベートコーチが存在します。プライベートコーチの活用は、受験勉強での「わかる」コツです。
次回以降は、心理学と勉強法 第3章(最後の章)モチベーションについて、ご紹介していきます。