心理学と勉強法 第37回 動機づけ その1(外発的動機づけ)

心理学と勉強法 第37回

第37回テーマは、動機づけ その1 外発的動機づけ です。

古典的な分類:外発的動機づけと内発的動機づけ

何か行動を起こそうとする時には必ず心理的な理由があります。その理由のことを「動機」と言います。そして、動機を調整する過程・機能のことを動機づけといいます。行動を起こし、目標に向かって維持・調整する過程・機能のことです。私たちの動機づけには「外発的」な動機づけと「内発的」な動機づけの2種類があります。今回は、外発的動機づけについて説明します。

外発的動機づけ

外発的動機づけとは、私たちの行動は報酬や賞罰(外発的なもの)によって起こるという考え方です。この考え方は、19世紀末から20世紀半ばまで主流であった行動主義心理学の立場から唱えられました。

行動主義心理学者たちは、基本的には人も動物も同じ原理が働くと考えていました。人や動物が行動するためには、物質的な賞罰とか、賞賛・叱責が必要であると考えていたのです。

その背景には、”人も動物も、もともとはあまり活動したいと思わないもの”という考えがありました。我々が行動を起こすのは、何か生理的な欲求が起こったり、何か不快な状況に陥ったりした時にそれを避けたいという欲求が起って行動が生じ、それらの欲求が満たされると、また活動しなくなるものと考えていたのです。

 

動物実験

彼らは数多くの動物実験を行いました。猫やネズミや犬を用いて、報酬や罰を与えると、どのように行動の変化が起こるか、すなわち学習が起こるかを明らかにしようとしたのです。

有名な実験にソーインダイクが考案したネコの問題箱、スキナーが考案したスキナー箱、などがあります。

 

図 ネコの問題箱

 

図 スキナーの問題箱

 

ネコの問題箱で説明します。箱の中の紐を引くと扉が開くようになっています。その中に猫を入れ箱の外に餌を置きます。ネコは餌をとろうとしても、中からは取れません。紐を引くと扉が開き、餌をとることができます。餌をとるまでがひとつの試行で、試行を繰り返すことで、ネコは素早く餌を取ることを学習します。

 

学習は、反復と賞罰で強化される

これらの動物実験を積み重ねた結果、スムーズに学習が起こるか、また一度学習したことが忘れにくくなるためには、「何度も反復することが必要であること」「賞罰を伴わせないと学習はなかなか成立しない」という説が主張されました。

外発的動機づけについては、例えば勉強でいうと、「テストでよい点(悪い点)を取ると親や先生にほめられる(怒られる)」ことが典型例ですが、「将来安定した仕事につきたいから」ということも当てはまります。勉強すること自体がやる気を起こすわけではなく、その結果として得られる“安定した仕事”がやる気が起こる源になっている=外発的である、との考え方です。

 

次回は、内発的動機づけについて説明します。

【次回(第37回)テーマ 動機づけ その2(内発的動機づけ)】