心理学と勉強法 第39回 動機づけ その3(2つの動機づけ まとめ)

心理学と勉強法 第39回

第39回テーマは、動機づけ その3 2つの動機づけ(外発的動機づけと内発的動機づけ)まとめ です。

 

2つの動機づけ

ここまで2つの動機づけである外発的動機づけと内発的動機づけについて説明しました。

 

外発的動機づけは19世紀から20世紀半ばまで主流の考え方でした。私たちが行動を起こす欲求は賞罰などがきっかけとなるという考えです。1960年代以降、この考え方への批判として内発的動機づけが主張されるようになってきました。私たちは賞罰が与えられなくても、自発的に行動を起こす存在であることが分かったのです。

 

内発的動機づけじゃなきゃダメ!?

ここで、一つ注意しておきたいことがあります。外発的動機づけと内発的動機づけを比較して、お金や将来の職業、虚栄心に結び付きやすい外発的動機づけを卑しいもの、人間たるもの内発的動機づけに基づいて、その行動自体(例えば勉強)に価値を見出して、努力すべきという「べき論」を時々見かけます。

 

 

確かに、「ご褒美がもらえなくなったり、ほめてもらえなくなると、モチベーションが下がってしまう」(アンダーマイニング効果)ことを示す実験結果(報酬がなくなった際に、自発的に取り組む行動が減退した)があります。もちろん、そのようなことはあると思います。しかし、だからと言って、外発的動機づけによる行動が卑しく、内発的動機づけに基づいて行動しないといけないという「べき論」は短絡的な考えです(二つの動機づけを対立するものとしてとらえるのではなく、連続しているもの、変化するものという考え方(自己決定理論)について、後ほど説明します)。

 

 

人間たるもの「外発的な」要因で努力することは、ある意味当然です。人間は2つの動機づけのどちらかだけで行動しているわけではありません。人間は、そのような単純な生き物ではありません。どちらの動機づけも私たちに働いています。動機づけには2種類あるということを知っておくことが大切で、それで十分です。

 

 

【次回(第40回)テーマ モチベーションと認知(行動を起こす前)】