いつか語り合おう(Tokyo 2020 閉会式)

オリンピックが8月8日に閉会式を迎えました。コロナ禍の中、国内で賛否両論ある中でのオリンピックでした。Tokyo 2020 オリンピックが、海外ではどのように報道されているのか、いくつかの海外の新聞記事を読んでみました。

 

 

The Guardian (イギリス):Tokyo says goodbye to the Games with grace and sense of relief

New York Times(アメリカ): Olympics End as They Began: Strangely

Washington Post(アメリカ):Olympic magic cut through the pandemic gloom, but the Tokyo Games’ legacy is complex

The Straits Times(シンガポール):Tokyo 2020 Hits and misses in an Olympic triumph against adversity

人民日報(中国:英語版):Athletes unite to go “Faster, Higher, Stronger – Together” at Tokyo Games

 

英字新聞だけですが、それぞれのお国柄が出ています。英米紙は、オリンピックの商業主義や政治利用への批判的な視点、コロナ禍での開催に関する日本国内での反発など、市民の意見をくみ上げようとする視点からの論調です。中国は(英語版ですが)、メダル獲得などの競技結果を中心に、中国の躍進や一部競技(競泳・陸上)でのアメリカの衰退を取り上げ、最後に、パンデミック禍でのオリンピックが無事開催されたこと、北京冬季五輪につながる記事で締めくくられています。

 

 

シンガポールの代表的な英字新聞であるThe Straits Timesは、ユニークな記事、いくつかの分野にわけてオリンピックの評価を行っています。

 

開催者の努力:A(パンデミックの中、世界最大の競技会を開催にこぎつけ、無事運営を終えた主催者、これを支えた数万人のボランテイア)

環境対策:A(資源の再利用やリサイクルを実現した選手村や競技場、メダル・表彰台など)

コロナ対策:B+(バブル内での陽性率0.02%、ただし、閉会後の日本でのコロナ感染状況への警鐘や一部関係者のルール違反)

暑さ対策:B(冷却ベストやミストスプレーなどの設備、競技開始時間の直前の変更などの細やかな対策、開催時期など抜本的な対策の必要性)

多様性:B(LGBTやトランスジェンダーの参加、男女ほぼ同じ参加人数、開閉会式などセレモニーでの男女同権的扱いなどの動きと根深いバリア)

福島復興:B-(福島産の食材や花を選手村やメダリストへのフラワーブーケで使用、ただし、地元開催の競技などで、復興の発信ができず)

スキャンダル:C(開催までの多くのスキャンダル)

 

 

歴史にどのように記されるのか、多くの人が自信がない中での論評が多いなと思っています。私は、朝日新聞に寄稿された重松清さんのコラムが心に残りました。以下、重松さんの最後の文章です。

 

 

祭りが終わる。子どもたちは、閉会式を見ているだろうか。「街なき五輪」は、子どもたちのやわらかな記憶の中で、これから長い年月をかけて熟成していく。どんな味わいになるだろう。甘さだけではない。苦さも、酸っぱさも、きっとある。でも、そのぶん深い味になってくれたら、おとなとして、うれしい。選手たちへの声援は、画面越しに届いただろうか。さまざまな困難の中、大会を支えた現場スタッフやボランティアの奮闘に、もっと思いを 馳せたかった。心残りはあっても、パラリンピックに大切なものをつないでいこうか。十代の選手、よくがんばったなあ。ベテランだってがんばった。40歳の飛び込み・寺内健選手への各国の選手たちのスタンディングオベーションには、目頭が熱くなった。そんな思い出の数々を胸に、子どもたちよ、いつか、この祭りについて語り合おう。

 

 

(文責:大井)