3.11 考える

2011.3.11 10年

東日本大震災から10年が経ちました。高校生の皆さんにとって、どのような記憶に残る出来事だったのでしょうか。10年を迎え、様々な報道に接し、当時のこと、あれからの10年を振り返る機会でした。学びとミライの視点で、2つの記事を2回に分けて紹介します。

東日本大震災#あれから私は(HUFFPOST 2021年3月10日)

津波を生中継した元NHKカメラマンの記事です。

 

 

2011年3月11日、津波が町を飲み込む衝撃的な映像が世界中を駆け巡りました。

この映像をヘリコプターから撮影した鉾井さんは、NHK入社 1年目のカメラマンでした。

報道機関で映像を空から中継していたのは鉾井さんだけ。映像が全世界を駆け巡りました。

映像は数々の賞を受賞しましたが、「たくさんの人が亡くなっている中で、自分は、一番安全な場所にいて、撮影をしただけだ」という葛藤が、積み重なっていったそうです。

NHK福島放送局に赴任していたことで原発事故からも目を逸らさずにはいられなかった中、鉾井さんは、”正しさ”とは一体何なのか、わからなくなっていった”そうです。

鉾井さん(HUFFPOSTより)

「報道は、”正しいこと”を伝えなければいけない。でも、時にその“正しさ“が、今の福島にとって受け止めきれる“正しさ“なのか…。誰にとっての”正しい”なのか…」

「取材で顔馴染みになった福島の人たちが、国や報道機関などが出す“正しいこと“に幾度も振り回される様子を目の当たりにしながら、自分は組織の制度上、いつか転勤をして福島を去る。

今は目の前にある問題も、いつか他人事にできてしまう。津波を撮影した日と同じように、守られた場所にいるような気がした。

「もう少し自分の目で福島を見て、考えながら生きていきたい」

福島桜紀行(短編映画タイトル)HUFFPOSTより

震災発生から2年後にNHKを辞め、現在は大学時代に学んだアートの世界で、一人のアーティストとして、震災後の福島をテーマとした短編映画やアート作品を発表していらっしゃいます。

カメラマンの仕事、報道の仕事、正しい報道とは?、その中で生き方を見つめ続けて、考え続けている姿に、鉾井さんの厳しさと、鉾井さんへの尊敬の念を感じました。

次回は、原発事故以後、福島県で医療支援・内部被ばく検査を続けていらっしゃる坪倉正治先生(福島医大放射線健康管理学講座主任教授、相馬中央病院などに勤務)が、放射線について、正しく、わかりやすく、ご説明をされているブログを紹介します。

 

 

文責:学問ノススメ 大井安治