「ヒトはなぜ笑うのか」マシュー・M. ハーレー (著), レジナルド・B. アダムズ,Jr. (著), & 5 その他、勁草書房 、2015年
- 2021.12.10 | 書評 未来への学び(遠い未来)
1.なぜ人は笑うのでしょうか?
年末年始にかけて年忘れや初笑いと称してテレビではお笑いのネタを観る機会がたくさんあります。
お笑いが好きな人が多いのだと思いますが、どうして人は笑いが好きなのでしょうか?それは、楽しい気分になるからだと思いますが、では、何が楽しい気分にさせるのでしょうか?またそもそも人はなぜ笑うのでしょうか?
笑うことについてはあまりにも日常的なことなので、あまり考えたことないかもしれません。
そこで、今回はユーモアとは何か、またそもそも我々はどうして笑うのかについて書かれた本、「ヒトはなぜ笑うのか」をご紹介します。この本は認知科学者、科学哲学者、心理学者らによって、ユーモアとは何か?人がなぜ笑うのかについて進化論や認知科学などの専門分野からそのメカニズムを探っていく学問横断的(学際的)な本です。
2.著者
ハーレー,マシュー・M.
インディアナ大学「概念・認知研究所」の研究員としてダグラス・ホフスタッターのもとで「感情が知性・創造性・意思で果たす役割」のテーマに取り組んでいる
デネット,ダニエル・C.
タフツ大学哲学教授
アダムズ,Jr.,レジナルド・B.
ペンシルヴァニア州立大学心理学助教授。非言語的手がかりからヒトが引き出す社会的・情動的な意味を研究している
3.構成
本書の構成は全14章です。
第一章 導入
第二章 ユーモアはなんのためにある?
第三章 ユーモアの現象学
第四章 ユーモア理論の学説略史
第五章 認知的・進化論的ユーモア理論のための20の問い
第六章 情動と計算
第七章 ユーモアをこなせる心
第八章 ユーモアとおかしみ
第九章 高階ユーモア
第一〇章 反論を考える
第一一章 周縁例──非ジョーク、ダメなジョーク、近似的ユーモア
第一二章 それにしてもなんで笑うんだろう?
第一三章 おあとがよろしいようで
終章
4.本書を読んで
本書によれば、ジョークやユーモアを面白いと感じるのは、「無意識的な確信が誤りだと発覚した(事を認識した)時、そのエラー検出に対する報酬として発生する」からだそうです。誤った考えや信念を放置していると生死に関わることがあります。そして、誤りを訂正するには、起きたことと自分の考えの間の違い・ズレに気がつき、改める必要があります。その報酬として笑いが起こるという考え方です。漫才やコントでツッコミが入った後に笑いが起こるのもうなづけるような気がします。
(文責:井口)