エールディ ペーテル「ランキング-私たちはなぜ順位が気になるのか? 」日本評論社 ,2020

身近にあるランキングについて考える

私たちはランキングと非常に密接に接しながら生活しています。

例えば、最近ではコロナ感染者数やワクチン接種数に関して、国や地域別の数がランキング形式で報道されています。

また、近々オリンピック・パラリンピックが開催されますが、各種メディアではこぞってメダル獲得数のランキングが報道されます。

私たち自身の行動の選択においても、例えば、どの参考書を選ぶか、どのアプリが良いか、どの店が美味しいか、どの大学に行くべきか、など何か選択するときには必ずと言って良いほどランキングを調べるでしょう。

それだけでなく、私たち自身も何らかの形でランク付される側の存在でもあります。

例えば、学校生活で言えば成績、ユーモア、運動の出来・不出来、などによって、他者からの評価、ランク付をされています。

このように身近に接しているランキングではありますが、そもそもランキングとは一体どのようなものなのか、あまり深く考えたことがないのではないでしょうか?

今日ご紹介する本は、私たちが普段当たり前のように触れているランキングについて、歴史や思想を、生物学、心理学、経済学、コンピュータサイエンス、政治学などの多様な分野から解説されている書籍です。

 

著者

ペーテル・エールディ

 

カラマズー大学複雑系研究センター教授

同大学物理学部教授、心理学部教授、ならびにハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センター教授を兼任。国際神経回路学会元副会長。専門は計算論的神経科学、計算社会科学です。

内容と構成

第1章 プロローグ:ランキングとの出会い

第2章 比較、ランキング、レーティング、リスト

第3章 動物集団と人間社会におけるランキング

第4章 選択、ゲーム、法律、ウェブ

第5章 無知と操作――社会を計測することの難しさ

第6章 ランキングをめぐる駆け引き

第7章 評判を獲得するための競争

第8章 ほしい物リストに刺激され――芝刈り機を買うか、買わないか

第9章 エピローグ:ランキングゲームのルール――今われわれはどこにいるのか

本書を読んで

著者は「ランキングというのは、どの指標を重視し、それらにどう重み付けするかに関する主観的な意見表明でしかない」と述べています。ランキングといえば、客観的で信頼できるものとつい思ってしまいますが、そうではありません。ランキングを参考としつつも、自分なりの評価軸を持つことが大事だと考えさせられました。

 

 

(文責:井口)