2. 一人ひとりの力を科学的に知ることの意味(Your Potential)

あなたに潜む力

人はどのように成長し、能力を向上させていくのでしょうか。

遺伝と環境の相互作用によるという考え方が発達心理学にあります。
遺伝による影響は認めつつ、その力を成長させる環境が大切という考え方です。
身長のように遺伝がより影響するものと、外国語の音韻取得のように、環境がより影響をするものと、その特性による差があるということも主張しています。

また、人の知的能力を考える際、認知能力と非認知能力という考え方があります。
認知能力とは、言語的能力、論理数学的能力、空間知覚的能力に代表される様な知的能力で、その総合力を図るための検査(知能検査)結果がIQ(Intelligence Quotient)です。
非認知能力とは、認知能力に対比される言葉で、知的能力を考える際に、認知能力だけでは測れない分野、例えば、あきらめない力、リーダーシップ、他者の心の理解力など、非「認知」能力(認知以外の知的能力)を総称しています。非認知能力の重要性は、米国のノーベル経済学賞受賞者ヘックマンが、幼児期の就学前教育プログラムの経済学的効果(教育が学力に及ぼした影響、賃金などの社会的な成功に及ぼした影響)を論じる中で、非認知能力を育む教育が、子どもたちの将来により大きな影響を及ぼしているという発表をしたことで、大きく注目されるようになりました。

氷山の一角

では、みなさんの今の成績は、どういう力でしょうか?
今の成績は、今までの学習環境の中で作られてきた学力の今の姿を表しているものです。一人ひとりの認知能力、非認知能力、学習環境が大きく異なる中での、現時点での姿、いわば氷山の一角にすぎません。

科学的に測る

ならば、大学受験という大きなハードルに挑戦する前に、一人ひとりのより本質的な力を総合的に確認することは当たり前のことです。

そのためには、できるだけ科学的な手法に則って調べることが重要です。
知能テストは、一定の認知能力を測定する上では、科学的な信頼性は確認されています。また、統計的に信頼性や妥当性が確認をされている心理テストで一定の非認知能力を測定することにも、意味があります。
今までの学習環境については、一人ひとりにインタビューすることで丁寧に確認をすることが重要です。

テストの性格上、受検時のコンデイションや、多様な人の能力を短時間のテストやインタビューで測ることの限界はあります。

が、いわゆる世間一般で言われている“偏差値”という指標で思考停止することは許されません。大きな可能性を秘めている、また、難しいチャレンジをする受験生のみなさんの一人ひとりの力を、氷山の一角に過ぎない現在の成績で確認することだけでは、不十分です。

大切な時期・多くの時間を費やす前に、一人ひとりの力(Your Potential)を確認すること、その結果を、志望校合格に向けての計画(Your Own Plan)、その伴走(Your Escort Runner)に活用することには、大きな意味があります。