大学受験とPDCA ~本の紹介: デミング博士の新経営システム論~

勉強のPDCA?

6月の学びとミライで、2回にわたり「頭の良さ」「知能指数」についての、学問ノススメの考えを説明しました。今回は、学問ノススメが学習指導において、大切にしている言葉”PDCA”について、書評を交えて説明します。

 

PDCAとは、Plan Do Check Actionの頭文字を取った言葉で、ビジネスの分野で頻繁に使われる言葉です。「PDCAを徹底しよう!」などと社長が部長を叱咤激励する場面で使われていることが多いように感じます(その社長も株主総会で、株主に同じ言葉で叱られたりしています)

 

 

日本語で、どのように表現するといいか、Google翻訳では、PDCA(英語)は、PDCA(日本語)と翻訳されます。私は、「計画倒れにしないクセ」ととらえています。野村総研(NRI)の用語解説では、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高めようという概念」と説明しています。この考えを提唱した学者が、デミング博士です。

デミング博士(著者)

 

米国の統計学者、コンサルタント、経営学者。日本での功績が有名。第二次世界大戦後の日本復興期に、国勢調査の計画立案に関わり、品質管理技術の専門知識などもあって、多くの技術者、経営者、学者に統計的プロセス管理と品質の概念の講義を行った。日本の製造業者はデミングの技法を広く適用し、品質管理やコスト削減を実行、日本製品が世界を席捲することに貢献した。日本での長年のデミングの業績を記念するため、デミング賞が創設され、現在も優れた品質管理、経営管理を行っている企業を表彰している。

「デミング博士の新経営システム論(原題:THE NEW ECONOMICS)」(NTT出版)でのPDCAの説明

 

本書では、PDSAサイクル(Plan Do Study Action)として、「このサイクルは製品や工程を検討し改善するため」「私(デミング博士)が、1950年に日本で教えた時に出来上がったものである」と紹介しています。本書(1994年刊行)は、デミング博士が提唱してきた経営システム論をまとめた経営全般に関する指南書なので、コスト管理やリーダーシップなど様々な内容が語られていますが、PDSAサイクルについては、ヒューマンマネジメント(人事管理)の章で説明されています。品質向上、コスト削減などの経営課題のために、PDSAサイクルを実行し、社員の成長をうながすことが必要という視点のため、人事管理の章で説明されていると理解しています。

大学受験とPDCA

計画したことを実行して、見直す。当たり前のことです。なぜ、この言葉が今も色あせず、口の端にのぼるか。とてもむつかしいからですよね。これは、私も身に染みています。みなさんもきっと実感があると思います。どうすればいいか。私は、PとCにこだわることを心がけたいと考えています。計画をいい加減に作らない。考え抜いた計画は、失敗したときに、どこが悪かったか、振り返れるから。そして、計画と実行を振り返る。分析する。これが難行です。やることがたくさんある中で、時間がもったいない。そこをぐっとこらえて考える。そのクセが、経験を生かすことにつながると考えています。最後に、ダルビッシュ有が、Tweetした言葉を紹介します。

 

 

 

(文責:大井)