心理学と勉強法 第12回 記憶のコツ 構造化 その1

心理学と勉強法 第12回 記憶のコツ 構造化 その1

第12回は、記憶のコツ 構造化 その1です。

記憶のメカニズムを考えると、記憶戦略として最も重要なことは、構造化です。

情報が構造化されると、格段に理解が進み、長期記憶として記憶しやすくなりますし、思い出しやすくなります。物事に熟達している人と初心者とでは構造化の仕方や量に雲泥の差があると言われています。

構造化というものがどういうものなのか理解するために、クイズを出します。

例えば、下記のような図や数列をさっと見て覚えるようにと言われた場合を想像してみましょう。10秒ほど見た後、この図や数列が目の前から消えました。その後、それぞれ再現をしてくださいと言われたとしたら、どの程度再現できるでしょうか?試してみてください。

(引用:市川伸一『勉強法の科学』)

いかがでしたか?なかなかすぐに覚えられなかったのではないでしょうか?しかし、ある構造や法則があるとヒントを伝えられた場合は覚えるのは非常に簡単になります。種明かしをすると、(a)は上下対照、(b)は「フィボナッチ数列」です。

(a)について、上下対照となるように中心に線を引いてみます。

中心線より上に“mirror”という文字が見えてきました。

(b)について「フィボナッチ数列」が何かについて知っていれば、一見無意味な数の連続も瞬時にどういう法則でできているのかが分かります。フィボナッチ数列とは、「前の2つの数を加えると次の数になる」という数列のことです。そうすると、1+1=2,1+2=3,2+3=5,3+5=8ということが理解できます。

簡単な例ですが、情報の構造がわかれば長期的に記憶することは簡単になります。物事を記憶するために構造を理解することが有効な手段だとイメージできたでしょうか?

 

 

【次回(第13回)テーマ 記憶のコツ 構造化 その2】