心理学と勉強法 第17回 知識のモデル

心理学と勉強法 第17回 知識のモデル

考えて理解するという複雑な分野でも、認知心理学での解明が進んでいます。今回は、知識のモデルについて説明します。

(1).知識のモデル

1. 2つの分類(宣言的知識と手続き的知識)

認知心理学では、知識を宣言的知識と手続き的知識に分類しています。

宣言的知識とは、事実に関わる知識(knowing what)で、情報が意識的に利用可能な顕在的な知識です。数学の定理や、英語の文法、ゲームのルールやマニュアルも宣言的知識にあたります。

手続き的知識とは、行為に関する知識(knowing how)、「どのように」ついての知識、潜在的な知識です。反復練習で意識せずに秩序だった行動が可能になることと関係しています。自転車の乗り方や、泳ぎ方、数学の問題の解き方(注:ただし、解き方が知識となるためには数学の宣言的知識(定理や公式)が必要)が手続き的知識にあたります。

2.知識になるモデル(階層的ネットワークモデル、活性化拡散モデル)

宣言的知識が保持(記憶)されている状態の説明として、階層的ネットワークモデルや活性化拡散モデルがあります。階層的ネットワークモデルとは、下の図のように、知識が階層的な構造で、ネットワークによってつながっているという考え方です。

知識構造の例

知識構造の例(出典 Collins & Quillian, 1969 認知心理学 箱田裕司他 有斐閣 2010 P.193)

活性化拡散モデルとは、階層的ネットワークモデルを改良したもので、下の図のように、知識間の連想関係が強いものほど近い位置に配置されているという考えです。このモデルの特徴はある知識が処理(活性化)されるとその活性化がネットワークを通じて他の知識に次々と伝わっていくという考え方です。脳が考えて理解する過程で、意味的に関連が強いものが速く正確に処理されることを説明することができます。

活性化拡散モデルによる知識構造の例

活性化拡散モデルによる知識構造の例(出典:Lachman et al., 1979:高橋雅延, 2008 認知心理学 箱田裕司他著 有斐閣 2010 P.196)

次回は、どのように知識を獲得するかを説明するモデルについて、説明します。

【次回(第18回)テーマ 知識を獲得するモデル( プロダクションシステム、コネクショニストモデル)】