心理学と勉強法 第29回 脳に正しい負荷をかける その1
- 2021.09.12 | 心理学と勉強法 高校生・受験生の学び(現在)
心理学と勉強法 第29回
第29回のテーマは、脳に正しい負荷をかける その1 です。
筋トレでも、正しいトレーニング方法があります。むやみにバーベルをあげるのではなく、ギリギリ持ちあげることができる(できない)重さのバーベルを上げる。鍛える筋肉に正しいフォームで負荷を与える。軽いバーベルをあげても筋肉はつかない。重すぎるバーベルでは、持ち上げられない。トレーニングが続かない。時間をかけても、回数をかさねても、鍛える筋肉を意識して、正しいフォームでトレーニングをしないと、筋肉がつかない。
同じです。ほどよい痛め方とは、時間をかけまくることではなく、数をこなしまくるということでもなさそうです。すべての人の脳の記憶容量には限界があります。そこでわれわれが行うことは、脳に与える負荷を下げながら、脳の神経回路を太くするための訓練を行うことです。
① 負荷を下げる工夫
記憶容量や演算処理能力には限界があります。限界に対処するために参考になる実験、抽象度が高いものを具体化することで推論の精度を上げることができることを示した実験をご紹介しました(心理学と勉強法 第21回 中程度の抽象度を持った知識)この実験では、4枚カード問題をコレラ問題や封筒問題のように具体化することで、正解率が飛躍的に向上していました。
同じように、視覚化することでわかりやすくなることがあります。以下の問題を考えてください。
タクシー問題
ある町のタクシーの15%は青で、85%が緑色です。ある日の夕方、タクシーによるひき逃げ事件が起きました。目撃者によると、ひいたのは青のタクシーとのこと、ただし、現場が暗かったこともあり、目撃者が色を間違えるおそれがあります。この目撃者がどの程度正確かについて、同様の状況下でテストしたところ、80%の場合は正しく色を判断できるが、20%の場合は逆の色を言ってしまうことがわかりました。証言通り青タクシーが犯人である確率は何%でしょうか?
多くの人が80%と回答してしまいますが、違います。簡単ではなさそうですね。ベイズの定理といいます。ある仮説の正しさに対する事前確率と、その仮説のもとでデータが得られる条件付き確率とから、逆に、あるデータが得られたもとで仮説の正しさを確率的に求める定理のことです。頭が混乱してしまいますね。
次回に説明します。