心理学と勉強法 第43回 行動を起こす主体意識
- 2021.12.17 | 心理学と勉強法 高校生・受験生の学び(現在)
第43回テーマは、”行動を起こす主体意識”です。
自己原因性 (行動の始発性・自律性)
ここまでは、自分の行動を起こす前と後について、どのように考えることがモチベーションに影響するかについて説明してきました。確かに、成功や失敗が、自分の行動や価値とどのように関係すると考える(認知)かによって、やる気は上下しそうです。
しかし、同じ行動でも、自分からではなく、誰かによってやらされていると思うと、やる気が減退してしまうことがあります。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?ド・シャームが唱えた「自己原因性」「行動の始発性・自律性」という考え方を紹介します。
オリジンとポーン
この理論では、「オリジン」と「ポーン」という言葉を使って説明しています。「オリジン」とは、自分の意志で動いている状態のことを言います。「ポーン」とは、自分が置かれた状況や、他人によって自分が動かされている状態のことを指します。いずれもチェスの言葉で、「ポーン」はコマ(歩兵)の一種、「オリジン」は指し手のことです
自分で決めたことにはやる気が上がり、誰かからやらされていると感じればやる気が下がることがあるという考えは、理解しやすいのではないでしょうか?
ただし、「ポーン」の状態で行う行動ならば全てやる気が上がらないのかといえばそうではありません。例えば、ピアノを親の言いつけで習い始めた人が、血のにじむ努力の結果、世界的なピアニストになる話はよく聞きます。卓球の福原愛さんや伊藤美誠さんが子どもの頃に、母親に叱られて泣きながら卓球の練習をする姿をTVで見たことがありませんか?
最初は「オリジン」ではなく、「ポーン」の状態だったものです。そうでありながらも、努力を重ねる中で、いずれはイヤイヤではなく、率先して行動するようになっています。なぜこのように変化するのか、次回の自己決定理論で説明します。