「世界を変えた6つの飲み物 – ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史」トム・スタンデージ 、合同出版、2007年

ボジョレヌーボーに触発されて

 

この時期になると毎年「ボジョレヌーボー」がいつ販売開始になるかニュースで報じられます。インターネットでニュースの件数を調べてみると33100件もありました。私はそれほどワインに詳しくないのでなぜそれほど耳目を集めるか興味が沸きました。その興味を発端として、そもそも飲み物について勉強してみたくなりました。

 

そこで今日ご紹介する本は、「世界を変えた6つの飲み物」です。タイトルにあるように本書では「世界史において6つの飲料がいかなる役割を演じたか」について述べられています。6つの飲み物とはビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラで、今日でも最も馴染みのある飲み物ばかりです。歴史に残る文化や大事件の影には飲み物の存在があったという観点から、人間と飲み物の関係の1万年に渡る歴史が語られています。なお原書は17カ国語に翻訳され、世界的ベストセラーになっています。

 

 

著者

トム・スタンデージ Tom Standage

 

歴史家。『エコノミスト』誌のエディター。オックスフォード大学卒、エンジニアリングおよびコンピュータ・サイエンス専攻。

歴史書を6冊執筆・刊行。本書は17ヵ国で刊行されています。同氏は、『ガーディアン』『デイリーテレグラフ』『ワイアード』など、多くの新聞・雑誌にも寄稿しています。

 

構成

本書は全6章から構成されています。大雑把にいえば、第1〜3章では古代〜中世においてアルコール飲料がどのような役割を果たして来たのか、第4〜6章では中世〜近現代においてはカフェイン飲料がどのように影響を与えたのかが述べられています。

 

プロローグ 生命の液体

1.メソポタミアとエジプトのビール

2.ギリシアとローマのワイン

3.植民地時代の蒸留酒(スピリッツ)

4.理性の時代のコーヒー

5.茶と大英帝国

6.コカ・コーラとアメリカの台頭

エピローグ 原点回帰

 

本書を読んで

 

飲料の原点は元々生命維持のために衛生的な飲み物を確保する必要があったことから始まります。衛生的な水は最も貴重な液体でした。しかし、衛生的な水の確保が難しいことから人類の飲料発見・開発の歴史が始まり、やがて、ある集団内で固有の価値が付与され、政治、経済、文化の在り方の形成に影響することとなります。本書で出てくる6つの飲み物は今ではどれも非常に身近ですが、歴史を振り返ると想像以上に壮大なストーリーがあったことを感じさせられました。

 

日本のお酒やお茶についてはあまり述べられていなかったので、興味が湧きます。

 

 

(文責:井口)