記憶のモデル その1 ~心理学と勉強法 2023~

心理学と勉強法 Back number

今回から隔週で、ブログ 心理学と勉強法の中で、多くの皆さんから興味を持って頂いたブログを順番に紹介していきます。まず、「記憶」に関するいくつかのブログを、数回にわたり紹介していきます。

記憶のモデル

心理学と勉強法は、高校生、大学受験生のみなさんを対象にしています。みなさんが、受験勉強の中で、記憶に苦労しているからこそ、記憶に関するブログに興味を持っていただいたものと思います。

 

 

ブログ 記憶のモデル で紹介した内容で、AI(人工知能)が、チェスや囲碁、将棋のトッププロに勝った話を紹介しました。AIがあっという間にトッププロに勝つことができるようになった理由は、圧倒的な量のデータを高速で処理できるようになったことです。その前提は、過去の棋譜(記憶情報)の蓄積があることです。記憶情報がなければ、妙手を見つけ出すことはできません。

 

 

学習する上で最も基本となるのが、ある物事についての情報を記憶していることです。受験勉強でも、教科を問わず習熟していくための第一歩は、前提となる知識や基本的なルールの記憶です。当たり前だろ!と思うかもしれませんが、音楽やスポーツで上達していくためには、順序を追った練習の継続が当たり前とわかっているのに、勉強については、知識の積み上げを忘れて、一足飛びに上達する魔法の杖があると思っているようなケースに時々出会います。

 

 

天才と言われている人の勉強量を見れば、天賦の才があるだけで花開くわけがなく、そこまでの道のりがあることがわかります。ただし、時間をかけて努力しましょうということだけを伝えたいのではないです。一足飛びに行くわけはありませんが、学習のメカニズムを理解した上で、たゆまぬ努力をしましょうということです。

 

 

人間はコンピューターとは違います。何から何まで記憶することは不可能です。記憶容量を増やすために、スーパーコンピューターを外付けすることはできません。一方で、人間が持っている優れた仕組みがあります。神秘的ともいえる人間の学習の仕組みの解明はまだまだこれからですが、わかってきていることもあります。先人から受け継いだそのメカニズムを理解した上で、努力することを考えていきたいのです。次回は、記憶のモデル「短期記憶と長期記憶」について、紹介します。

 

 

(文責:大井)